★声優というお仕事★


声優とは「俳優のマスコミ仕事」の一種である。
仕事という以上、様々な条件と事情があり、そして生活がある。
ここでは声優の現実を紹介しよう。


声優の主な仕事

名称







コメント

アフレコ

 アフターレコーディングの略。「絵が出来てから録音する」という意味。業界ではアニメーションの仕事全般を指す。音を先に収録して、音に絵を合わせる場合には『プレレコ』という。実際の現場では、絵が完全にできていることなどほとんどない。
 仕事的には最も激戦区。レギュラーをとるのはナカナカ難しい。30代を過ぎると、仕事の機会が極端に少なくなる。

アテレコ
(吹き替え)

 「外国語に日本語をあてる」という意味の造語。業界では外画(外国映画・外国TVドラマ)の吹き替えの仕事をいう。
 新人はなかなか出演機会がない。アテレコをやりたい人は、アテレコに強いプロダクションを狙おう。

オーディオドラマ
(ラジオドラマ)

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 音だけのドラマ。アニメや外画のように絵に縛られないので好む声優は多い。
 声優としての実力を特に問われる。朗読などもこのジャンルに入る。

ゲーム

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 ゲームの音声ファイル。ギャラはピンキリ。最近はゲーム業界も苦しいので、あまり良くない。新人の登竜門。
 録音現場で、演出のことを知らないゲーム会社の人間が口を出してくることも多いので、イヤイヤやっている声優も少なからず存在する。

ストレート
ナレーション

 ビデオやテレビ・ラジオでの一般的なナレーション。しっかりした喋りが求められる。
 ギャラが良いのでやりたがる声優は多いが、実際にできる声優は極めて少ない。

キャラクター
ナレーション

 キャラクターをつくっての特殊なナレーション。声優のナレーションといった場合、多くはこのキャラクターナレーションである。
 特筆すべきはテレビCM。ベテラン声優は、商品名を一声言っただけで150万円ものギャラになることもある。

ラジオDJ
パーソナリティ

×

 ギャラは低いが、ファン・サービスの一環としてやっている声優は多い。AMよりもFMは安く、プロモーションの一環としてタダ働きという例もある。最近はインターネット・ラジオなどもあるが、ギャラはやはり低い。

ギャラ…拘束時間比でどれだけのギャラか。時給換算して、5000円以上を○とした。
知名度…業界内外での知名度。知名度が上がるにつれ、仕事の機会が増え、ギャラのランクも上がる。
満足度…俳優としてのやりがい。この項については中堅からベテランの声優たちの一般的な見解を参考としている。新人の場合は、満足もへったくれもなく、与えられた仕事を全力でやるしかない。



声優の生活

 まず、最初に結論を……
 「声優は儲かりません」
 声優雑誌のグラビアを見ていると、「声優って儲かりそうだなあ」とか「華やかな業界なんだなあ」と思いがちだが、現実は大違い!

 まずは一般的な労働者がどれだけ収入があるか? 平成11年の労働統計(労働省)を基とした平均年収は、27歳で約350万円、32歳で約440万円、38歳で約520万円、42歳で約550万円となっている。
 さて、27歳で年収350万円の声優など、どれほどいようか? ‥‥‥まず、10人もいないね。どの世代であっても、年齢なりの平均年収に達している声優など、声優全体の1割もいない。
 ちなみに業界において、声優と認知されているのは約3000人(日俳連ベース)。そのうち、声優としての収入のみで生活している人は100人もいないとされている。
 ほとんどの声優は、三十代であってもバイトをしているのが現実だし、ある程度の年齢に至っても、家族がいる場合には共稼ぎが当たり前なのである。

 ここまでは総論である。
 若い声優志望者には、いまいち、ピンとこないだろう。

 では、声優志望者としてアクションを起こしている人はどんな生活をしているか?
 声優志望者として幸福なのは、実家で両親といっしょに暮らしている人たちだ。
 無論、親にはガタガタ言われる。就職もしないで夢をおいかけ、親のスネをかじっているんだから当然だ。それでも、毎日のゴハンには困らないのである。文句ぐらいはありがたく聞いておくべきであろう。
 大変なのは、実家を出て、独り暮らししている志望者だ。東京で暮らすには、けっこう金がかかる。家賃は5〜7万円、食費3万円、水道・光熱費2万円、交通費2万円、社会保険2万円‥‥‥ なんだかんだで月15〜20万円はかかる。
 養成所費用を自分で稼ぎ出そうとしたなら、1年に50〜100万円は貯金せねばならない。月平均4〜8万円の貯金だ。
 つまり、生活費と貯金を合わせたならば、月収20万円以上はアルバイトしなければいけないわけである。
 月収20万円を稼ごうと思ったら、時給850円・月25日出勤で、1日に10時間は働かねばならない(源泉徴収で1割とられるんだよ)。
 アルバイトだけでなく、レッスンもあるし、自主練習時間もあるのだから、毎日がアッという間に過ぎていく。
 ここまででも、声優となるのが楽ではないのがわかるだろう。それでも月20万円を稼げる者は幸福だ。普通は、月18〜16万円ぐらいまでしか稼げない。シャワーもないオンボロ・アパートに暮らしたり、バイト先の食事だけにして食費を削ったり、自転車を利用して交通費を節約しながら、なんとか暮らしている志望者がほとんどなのだ。
 そして、声優となるには、こんな生活を5〜8年はやっていかねばならないのである。

 さて、以上のような暮らしを頑張り抜いて、ついにプロダクションのジュニアとして残れたとしよう。
 このジュニアとして残るのだって、並大抵のことではない。養成所にもよるが、ジュニアとして登録されるのは、全体の1〜2割である。つまり、プロダクション附属養成所に通ったとしても、8〜9割は最初から落とされる運命にある。
 実は、ジュニアとして残れても、もっと辛いのだ‥‥‥
 養成所の生徒としての間は、生活のためのアルバイトを優先してかまわない。しかし、ジュニアとしてプロダクションに登録されたならば、生活のためのアルバイトよりも、声優としての仕事の方が最優先なのである。
 ほとんどの声優の仕事は突然入るので、バイト先を変えねばならぬこともあるし、声優の仕事をやってもギャラが入ってくるのは2〜3ヶ月先である。ジュニアは、せっかくのバイトをクビになり、生活が破綻してしまう恐怖と隣り合わせの毎日だ。

 ジュニアとしての登録期間は、一般的に2〜3年である。ジュニア期間中に実績を上げて、事務所に認めてもらえなければ、正所属としては残れない。正所属として残れなかったら、その他大勢のシロウトと変わらない存在として放り出されるのみ。
 生活を破綻させながら2〜3年頑張ったとしても、正所属として残れない時はもっと悲劇だ。バイトを転々としてしまっているから、アルバイトからの正社員採用もなかなか難しい‥‥‥

 運良く正所属となったとしても、どれだけの仕事が来るようになったら、声優として暮らせるのだろうか?
 志望者諸君は、テレビアニメのレギュラーをとれば、声優として飯を食えると思うだろう。
 ちっちっちっ‥‥‥ そんなに甘くないのだよ。
 テレビアニメは、新人のうちは1本出演して15000円だ。月に4回収録があったとして、月6万円。そこから10%の源泉徴収と、マネジメント・フィーを20〜30%引かれる。結局、声優の手元に渡るのは、38000円〜43000円である。
 つまり、新人は、テレビアニメのレギュラーを1本とったとしても、それだけでは暮らせないのだ。暮らせなければ、バイトをするしかない。
 
新人でテレビアニメのレギュラーを4本も5本もとっているのがいるか? ‥‥‥いるわけないよね、そんな人は。
 デビューから数年を経て、ある程度は認知されている声優であっても、そう簡単にランクが上がるものではない。逆に、安易にランクを上げてしまうと、仕事の機会そのものを失ってしまうので、そこそこのランクで抑えるようにしている。
 一般的な労働者の平均年収まではいかなくとも、声優として月15万円以上を稼ぐのは、ひじょうに難しいのだ。だから、30代になってもバイトをしている声優は少なくないのである。

 では、なぜ、声優を続ける人が多いのか?
 こんなに儲からない仕事を、なぜ、やり続けるのであろう?
 それは純粋に芝居が好きだからだ、という声優が多い。
 声優とは、プロ俳優のマスコミ仕事の一種である。好きな芝居で生きていきたいという思いが、日本独自の声優文化を支えているといっても過言ではないのである。
 だから、声優ファンやアニメ・ファンのままではやっていけないよ、と私は言っているのだ。

 もし、キミが、会社に就職するような気分で「声優になりたい」と思ったり、今よりも生活水準を落としたくないと思っているのであれば、早く諦めてしまった方がいい。その方が、お金も時間も無駄にならない
 何度も書いているが、当サイトは「さあ、みんな、声優になろうぜ!」といったようなお気楽hpではない。
 「絶対に声優になってやる!」という決意がない人には、養成所に通う前に諦めてほしいし、
 養成所に通っていても、根性が足りない人や気合いが入っていない人には、なるべく早めに諦めてほしいと思っている。
 さあ、もう一度、読み返してみよう。
 バイトとレッスンに明け暮れる生活を、キミは本当にできるだろうか?
 ジュニアとして登録されるのは、志望者全体の10〜20%程度である。
 ジュニアだからといって、すぐに仕事が貰えるわけでもない。プロダクションによっては、年に1〜4回程度、オーディションの際に声をかけてもらえるかどうか。
 そして、ジュニア登録者のうち、8〜9割が「実績を残せなかった」として放り出される。その時、ジュニア在籍などは、一切、キャリアにはならない。ジュニアで放り出された人は、シロウトでありタダの人としか、業界では認知しないのである。
 正所属声優になったとしても、コンスタントに仕事がくるわけではない。三十代になっても、アルバイトをしている声優がいるのは、ウソでもオドシでもない。厳然たる事実だ。


 君たちが知っている有名声優とは、
 業界において約3〜4%の「選ばれた人」であり、
 「選ばれるべく修業し続けている人」なのである。

 

 諦めようと思って、諦められるならば、諦めて欲しい。
 志望者のうち、99.99%は諦めたくなくても、諦めるしかない業界なのだから。

安達成彦