第1期終了の御挨拶
 THE AQUARIUS STUDIOは、私のライフワークであるスタニスラフスキー研究と、このVOICE-ACTORS STUDIOのために生まれた。
 スタニスラフスキー研究のページは滞っているが、こちらは随分と進んだものだ。
 たった4ヶ月前に書いたものなのだが、今、読み返してみると、本当にキツいことばかりが書き連ねてある。だが、これらのほとんどは、私が実際に生徒に向かって言っていることなのだから、本音の中の本音だ。

 「明日のために」連載中は、様々な立場の色んな人たちからご意見・ご要望をもらった。
 一番多かったのは、同じ業界人からの、「もっと言ったれ!」という激励と、「本当のことを言い過ぎて敵をつくらないようにね」という心配だ。
 私がここで書いたことのほとんどは、同じ業界人であればうなずいてもらえることばかりである。それこそ、「こんなこと、今さら、言わなくても…」といったことまで書いている。
 だが、はっきりと言っている人は少ない。それはなぜか? 一般の書籍や雑誌では、広告との関係で編集部からストップがかかることもあるからだ。

 たとえば、一番、波紋を呼んだのは「これがサイテー養成所」の回だ。これは業界人であれば誰でも知っている常識である。が、誰でも知っているのに、表では言わない。
 あの回で揶揄した養成所や学校は、全て実在するモデルがある。そして、そこにも心ある講師はちゃんといる。だが、声優の講師では、プロダクションとの関係で言いたくても言えないのだ。
 じゃあ、なぜ、私は言えたのか? それは今の私の本業が作家だからである。一匹狼の作家でなければ、あそこまではなかなか表では言えないのだ。

 別に私は、勝田声優学院が最高だと言っているわけでもなければ、他の養成所や学校の営業妨害をするつもりもない。
 養成所や学校なんて、どこでもいいのだ。
 ただ、大きなプロダクションだろうがなんだろうが、若い志望者を食い物にすることだけは許せないのである。

 私だって、声優養成の内情の中では、実は色々と苦労をしている。どこにだって、経済的な問題というものはあるし、権力争いといったものが発生する。それは人間の業みたいなものだからしょうがない。
 が、自分の苦労なんてものはどうでもいいのだ。
 私が辛かろうが、苦しかろうが、おもしろくなかろうが、そんなものは私が我慢をすれば済む。ただ、それだけだ。
 しかし、若い志望者諸君が酷い目に遭ったり、半ば騙されているような状態に置かれていることだけは我慢がならない。
 そんな気持ちが「明日のために」第1期20回分の原動力になったのだし、みなさんの支持を得られたのだと自負している。

 また、一部からは「ここまでノウハウを明かすと盗まれるぞ」といった忠告や、「無料でなにもかも明かさないで下さい」といった懇願めいた意見ももらったことがある。
 いいの、いいの。こんな程度のもの。
 真似できるものなら、バンバンと真似してくれればいい。
 それで、ひとつでもふたつでも、まともな養成所や学校が増えてくれればいいと真剣に思っている。
 なによりも、私が明かしたノウハウの全てを誰でも真似できるかといえば、そんなことはほぼ不可能なのである。

 たとえば、解釈術ひとつとってみよう。
 解釈術についていば、私は日本一わかりやすい指導ができると自負している。
 アマチュアならばともかく、プロとして作家・演出・俳優の立場全てに立ったことがある人など、業界には数えるほどしかいない。
 そして、その中でも、ストラクチャを基にした解析をできる指導者など、日本には私以外にいないと断言してもいい。
 だからこそ、私は選抜チームメンバーにおける「勉強を始めて3年目とは思えないレベル」の生徒を育て上げることができたのだ。
 彼ら彼女らがプロダクションに入って、正式デビューを果たした時こそ、業界は変革を始めると思っている。
 やや誇大妄想狂めいた発言ではあるが、これが大ぼらか事実かは、あと5年も待たないうちにハッキリとするはずだ。
 今から私は、彼らがデビューしたらこのHP中に「弟子の殿堂」というコーナーでもつくろうと考えているぐらいなのである(笑)。

 私がいつまで声優養成に関わり続けるのかは、自分でもわからない。
 本当に色々な事情があるのだ。
 ただ、どこの学校であっても、私が講師を続けている限りは、このVOICE-ACTORS STUDIOも続く。
 第1期終了ということで、第2期がいつから始まるのかと思っている人もいるだろう。この問いには「そのうち」と答えておく。
 今は、ちょっとばかり充電時間をくれとしか言いようがない。

 最後に、私と顔を会わせたことはないが、この「明日のために」を楽しみにしてくれた人たちにメッセージを…

「私はこれからも、君に直接指導することはないかもしれない。
 が、どこの学校/養成所に行ったとしても、私の言葉を忘れずに修業に邁進してくれ。
 君がプロになったならば、もしかしたら、会えるかもしれない。
 その時は、笑顔で言ってほしい。

『安達さんのHPを読んで勉強してました』と。

 その一言で、君は、私の可愛い教え子だ」

 ではでは。

安達 成彦