滑舌練習のポイント
 滑舌を効率良く向上させるために大事なポイントは、人体における調音のメカニズムを正しく知ることである。
 この調音のメカニズムすら教えてくれない指導者についたとしても、時間がかかるばかりだ(もっとも、そういう指導者は、滑舌の重要性を説きもしないが)。

 ここでは、苦手な人が多いラ行をつかって説明してみよう。
 まず、「ア、ラ、ア、ラ、ア、ラ…」と交錯させて連続発音してみてほしい。
 この時、アでは下に落ちていた舌が、ラでは上前歯の裏あたりを叩いていることがわかるはずだ。
 ラ行における「ラ、レ、ロ」のポイントとは、この舌のタップである。  舌は舌筋という筋肉によって動いている。この筋肉は訓練次第で動くようになるのだ。つまり、舌のタップを意識するようにして練習を繰り返せば、ラ行は早く上達するというものである。

 次に「イ、リ、イ、リ、イ、リ…」と連続発音してみてほしい。
 この時、イでは下前歯のすぐ裏を押さえていた舌が、リと発音する時は上前歯の裏あたりを強く滑らせていることがわかるはずだ。
 この舌の滑らせ方を意識すると、「リ、ル」はきれいに発音できるようになる。

 滑舌とは、「顔面筋肉を使っての口の形」「舌の位置と動き」「呼気を抜かすベクトル」を正しく理解した上で練習すれば、簡単に上達するものなのだ。
 これはラ行ばかりではない。他のサ行にしてもタ行にしても、みな同じなのである。
 養成所に通っている諸君は、滑舌練習文が大量に集められたテキストを持っているはずである(このテキストを配付しているかどうかからも、君が通っている養成所の方針がわかるというものだ)。
 これを使って、最低でも毎日1時間は滑舌練習をしてほしい。
 その時、必ず鏡の前で行うことだ。最近の若い人に共通することに、顔面筋肉が貧弱というのがある。ほとんどの志望者は、滑舌練習の際に「顔面筋肉を使って、口を正しく動かす」ということができていないのだ。
 顔面筋肉は、練習によって鍛えられる。舌筋と同じだ。が、練習によって鍛えられるものであるということは、サボれば一気に落ちるというものでもある。滑舌練習は、各自、きちんとやってほしい。やればやるだけ向上するが、サボればサボっただけ落ちる能力なのである。
 特にラ行は、真面目さのバロメーターである。ラ行は、正しい練習法を続ければ、必ずステップアップする。つまり、ラ行でつまづいている志望者とは、口で言うほどの情熱をもっていないというだけのことなのだ。

 余談ではあるが、私が教えた生徒の中に、破滅的なほどラ行ができていない子がいた。訓練していない普通の人であっても言えるようなラ行ですら、彼女は言えなかったのである。私は彼女にラ行の猛特訓を命じた。
 3ヶ月後、彼女はラ行をクリアしたのである。それも舌に血を滲ませながら、だ。私は彼女によって、滑舌訓練で血が出ることもあると初めて知った。
 「ラ行が苦手」といって、そのまま練習すらしていない君。全国に2万人ともいわれている声優志望者の中には、ここまで練習して弱点をクリアーしている者さえいるのだ。
 君は、この彼女に勝てる情熱をもっているか? 私の教える生徒には、彼女と同等かそれ以上の情熱をもって勉強に励んでいる生徒が20人以上はいる。その情熱に、私は実践的な論理を教えているのだ。
 口だけの情熱でチンタラやっているタワケが、我々の前に現れたら実力で吹っとばすのみ。我々を刺激するライヴァルが続々と現れてほしいと願う。
(ホントにそう思ってるよ。じゃなければ、インターネットで、こうして手の内をオープンになんかするわけないでしょ)



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