養成所の選び方

 『養成所ガイド』の類を買ってきた君は、ここで本格的に悩み始めるはずだ。現在、声優の養成所はとにかく多い。ここでは養成所の分類法ともいうべきものを紹介しよう。

1/プロダクション附属系養成所

 プロダクションが直接運営にあたっている養成所のこと。声優になるステップにおいては王道ともいえよう。長所は、プロダクションに残ればデビューできる可能性が高いこと。短所は、費用が高いこと。
 養成所によっては「教えるための養成所」ではなく「振るい落とすための養成所」もあるから要注意だ。全くの初心者がそういう養成所に行ってしまうと、なにがなんだかわからないうちにクビになって、その後の進路に悩むこともある。

 プロダクション附属系養成所で確認すべきは…
「マネージャー協会に所属しているプロダクションが運営しているか?」…マネ協無所属プロであってもちゃんとしているところもあるのだが、ここらへんは無難に選ぶのに越したことはない。
「本当に直接運営か?」…提携はあてにならない。在学中に提携がなくなるなんてこともあるからね。プロダクションの名称を冠していても、経営は別法人なんてのもある。


2/専門学校・各種学校系養成所

 宣伝が派手だし、設備が立派だし、寮があったりするので、地方出身者には人気の専門学校系だが… ここでひとつ調べてみてほしいことがある。

「その学校から何人のプロが生まれていますか?」

 設立から10年以上経っているのに、現役の声優を10人も輩出していないような学校など行く意味はない。それは単純にカリキュラムの欠陥を示しているに過ぎないのだ。演技表現、俳優修行とは極めて論理的なものである。カリキュラムに欠陥があって、どうして役者を育てられようか?


3/私塾系養成所

 役者個人が看板を出して指導している養成所のこと。私が指導に行っている勝田声優学院がこれにあたる。長所は、プロダクション附属系に比べて費用が安いこと。短所は、卒業後に、プロダクションを自分で探さなければならないこと。

 前述のように、プロダクション附属系には「振るい落とすための学校」もあるので、そういった学校へ行く前に実力を養う場として活用するのもいいだろう。本人の努力次第では、プロダクション附属養成所へ飛び級入学する実力を備えることも可能である。
(実際、勝田の場合は、そういう進路をとる生徒が多い)

 また、指導にきている講師は、親身になって進路相談にのってくれる人も多いし、見どころのある生徒についてはプロダクションへの紹介をする場合もある。
(あくまでも見どころがある場合、ね)


4/劇団系研究員

 声優に近い劇団といえば、野沢雅子さん率いる劇団ムーンライト、肝付兼太さん率いる劇団21世紀FOXが有名どころである。また、このふたつの劇団は独自の営業部門ももっており、ムーンライトからは人気声優の今井由佳さんがデビューしている。
 長所は、毎日の練習による実力向上が望めること、舞台経験による実力向上が望めること。
短所は、生活を劇団中心にしなければならないこと。ハンパな気持ちで挑戦すると生活そのものが崩壊してしまう恐れがあるが、心底芝居が好きな人には最高の環境である。


おまけ/悪徳商法(笑)

 よく新聞や雑誌などで『声優オーディション』などという広告を見かけるが、あの類は全て無視してかまわない。
 どこの世界に、今まで役者としての勉強を1分1秒たりともしたことがない「ズブの素人」を現場で使う奴がいる? 私がシナリオを書いた作品に素人が出演したら怒鳴りまくるし、私が演出をする現場に素人がきたら即座にスタジオから追い出すぞ。
 この手のやつは、オーディションらしきものをやって

「うーん、実力がまだまだ足りないね。どお? うちの学校で勉強してみない?」

とやっているだけである。しかも、そうやって集めた生徒の中にプロになった者など、ひとりとしていない。(ここんところ、私のマスコミ人生 には一切関係ないので、本音だけで書かせてもらった)

   *   *   *   *

 とにもかくにも養成所を選ぶポイントは、ただ1点のみだ。

「どれだけのプロを輩出したか」

 これだけを見ればいい。輩出したプロの数とは、それだけのカリキュラムをもっているという証明に他ならないのである。
 となると、新設養成所の評価となるが… これもまた、実は簡単なのである。
 次項を参考にしてくれたまえ。



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